結論:複数の副業をまとめて開業するときは、開業届は1枚でOKです。
屋号欄や備考欄に業種を並べ、青色申告にするか雑所得で済ませるかは「営利性・継続性・経費規模」で判断しましょう。
会計ソフトを活用してスムーズに実務を進めるのがおすすめです。
1. 複数副業の開業届まとめ方
1-1. 開業届は1枚でOK
開業日が同じ副業をまとめる場合、開業届は1枚で提出できます。屋号欄に「事務代行・オンライン秘書業/作家業」のように2業種を並べるか、
備考欄に「事務代行・オンライン秘書業並びに作家業」と書けば問題ありません。
提出義務は「事業開始から1か月以内」が原則ですが、提出しなかったからといって罰則はありません。
青色申告を希望する場合は、このタイミングで「青色申告承認申請書」も合わせて提出しましょう。
1-2. 職業・業種欄の書き方
開業届の「職業」「事業の概要」欄には、メインの収入源を先に書き、その後に「副業として作家業を営む」旨を追記すればOKです。
確定申告書Bでは複数の職業を列挙する必要があるため、事前にメモしておくと便利です。
2. 「事業所得」か「雑所得」かの見極め
国税庁は「独立して反復継続して行う営利活動」を事業所得と定義しています。
小説活動でも、将来の印税収入を見込み継続的に執筆・販促を行う計画があることを示せば、事業所得として届け出可能です。
判定軸 | 事業所得と認められやすい例 | 雑所得になりやすい例 |
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営利性 | 毎月案件があり利益見込みがある(オンライン秘書) | 賞金頼みで収入見込みが乏しい小説 |
継続性 | 継続受注・再委託を目指す | コンテスト応募のみ |
経営規模 | 月数万円以上・経費管理を行う | 年数千円の印税のみ |
3. 開業届の具体的な書き方例
国税庁サイトや freee/マネーフォワード の無料ツールでフォームを自動作成し、郵送またはe-Taxで完了できます。
項目 | 記入例 |
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屋号 | 〇〇オフィス/△△ライティング(2段書き) |
職業 | 事務代行業・オンライン秘書、作家 |
事業の概要 | 企業のバックオフィス業務請負、Web秘書業/小説原稿の執筆・販売 |
開業日 | クラウドワークスで初契約を結んだ日(例:2025-08-01) |
備考 | 上記2事業を同一個人で営むため一括して届け出る |
4. 青色申告 vs 雑所得での申告選択
副業をまとめて青色申告に含めるか、小説を雑所得で分けるかは節税効果やリスクで判断します。
項目 | 青色申告<br>(小説も事業所得に含む) | 雑所得で分離<br>(小説は雑所得) |
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節税効果 | 65万円控除・赤字3年繰越が全体に適用 | 控除なし(家内労働者等特例10万円のみ) |
損益通算 | 小説の赤字を秘書業の黒字と相殺可 | 相殺不可(雑所得は通算対象外) |
帳簿要件 | 複式簿記+帳簿7年保存 | 単式簿記でも可 |
リスク | 赤字続きだと「事業実態なし」と否認されやすい | 節税効果は乏しいが税務調査リスクは低い |
<おすすめ運用例>
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将来の印税見込みや取材費がかさむ場合は、まとめて青色申告が有利。
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趣味レベルで収入ゼロが続きそうなら、小説は雑所得にして様子を見る“段階的運用”も可能です。
5. 実務フロー:準備から初年度申告まで
開業から申告まで、以下のステップで進めましょう。
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開業届・青色承認申請書をe-Taxで送信(最短30分で完了)
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会計ソフト(マネーフォワード クラウド等)に「事務代行」「作家業」の収益科目を作成
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口座連携を設定し、クラウドワークスの収入はCSV取込で管理
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小説経費の証憑をタグ管理(書籍購入費・取材交通費などを「作家業」タグに)
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年末に損益を確認
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黒字ならそのまま青色申告で申告
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赤字が続きそうなら翌年以降「異動届」を提出して雑所得へ変更可
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まとめ
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複数の副業も開業届は1枚でOK。屋号欄や備考欄に業種を並べるだけです。
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事業所得か雑所得かは「営利性・継続性・経費規模」で判断しましょう。
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開業届は国税庁サイトや会計ソフトで簡単作成、e-Taxで即完了。
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青色申告にまとめると最大65万円控除・損益通算が使えますが、帳簿義務と否認リスクに要注意。
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会計ソフトの口座連携・タグ機能を活用し、スムーズに申告準備を進めましょう。
これで「オンライン秘書+作家」という二刀流でも、税務上クリアかつムダのないスタートを切れます。