✅ 結論(要点から)
令和7年度税制改正により、
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基礎控除と給与所得控除がそれぞれ10万円ずつ拡大され、非課税枠が増えたことで、低~中所得層が得をする内容です。
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特に、合計所得金額が132万円~655万円の方は控除額が変動する特例対象となり、一歩の所得差で大きく税負担が変わる可能性があります。
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副業をしている人は、控除額特例と収入のバランスに注意する必要があります。
主要な改正ポイントと影響
基礎控除の引き上げ
現行48万円→最高58万円へ引き上げ。さらに、低〜中所得者向けに最大37万円の控除上乗せ特例あり(令和7・8年限定)
→ 非課税所得額が拡大し、所得1,000万未満の多くが恩恵を受ける。
給与所得控除の引き上げ
最低保障額が現行55万円→65万円へ引き上げ。こちらも物価上昇への対応の一環です
→ パート・アルバイトからボーナス所得まで、控除額が増えて節税効果。
特定親族特別控除の新設
19~23歳未満で年間所得58万円超~123万円以下の子どもに対して段階的控除(最大63万円所得税分)が創設。
→ 大学生アルバイトなどの扶養維持がしやすくなる。
補足:扶養控除の所得要件の見直し
配偶者/扶養親族の所得要件が従来48万円→58万円以下に緩和。
→ 配偶者がもう少し稼いでも扶養適用が維持されやすく。
誰が得をする?誰が損する?
📈 得する層
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給与収入のみの人(特に年収300万円以下):基礎控除・給与所得控除拡大で所得税負担が軽減。
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大学生バイトなどの扶養親族がいる家庭:特定親族控除で控除額アップ/扶養範囲の拡大。
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副業を含む合計所得が132万〜655万円台:控除上乗せ特例により最適な税負担位置に調整すれば有利に。
📉 損をする可能性がある層
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所得が132万円ジャスト前後の方:控除額が88万円から68万円に減るタイミングで、**1円違いで税負担が大きく変わる「132万の壁」**に注意が必要。
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副業をしていて、微妙に課税所得レンジを超えている人:控除額や税率が跳ね気味になる可能性あり。
👥 副業への影響は?
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「20万円ルール」は変わりません:給与収入+副業合計所得が20万円以下なら申告不要は維持。
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しかし、基礎控除額が令和7・8年限定で所得に応じて変動する仕様のため、副業額を少し変えるだけで控除額が変化し、納税額に大きく影響する可能性があります。
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したがって、副業収入を意図的に調整する戦略をとる方も出てくるかもしれません。
🗓️ 適用開始時期と留意点
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改正内容は2025年12月1日以降の年末調整から適用。2025年分の所得税に影響。
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11月30日以前の給与には旧控除額、12月1日以降には新控除額が適用される点に注意が必要です。
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副業の申告や扶養状況変更がある場合は、年末調整時に「特定親族特別控除申告書」などの書類提出が必要になる場合があります。
📊 主な変更点まとめ(表形式)
項目 | 改正前 | 改正後 | メモ |
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基礎控除 | 48万円 | 最大58万円+最大37万円(132万~655万帯) | 控除上乗せ特例あり(令和7・8年) |
給与所得控除(最低保障) | 55万円 | 65万円 | 所得計算に有利 |
特定親族特別控除 | なし | 最大63万円 | 19~23歳の子対象 |
扶養/配偶者控除要件 | 合計所得48万円以下 | 合計所得58万円以下 | 緩和で適用範囲拡大 |
副業の20万円ルール | 変わらず | 変わらず | 基礎控除変動に注意 |
✅ まとめ
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副業を含む合計所得が132万〜655万円帯の方は、新制度に伴い税金の負担が一変する可能性あり。
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低〜中所得者や扶養家族がいる家庭、パート・アルバイト層は恩恵大。
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副業収入の調整や年末調整の手続き対応を事前に確認しておくと、無駄な税を避けられます。